シンガポールの医療事情

シンガポールって物価が高いんでしょ?これ、シンガポールの質問あるあるですよね。そんな時、たいていはお酒、たばこ、食べ物、そしてコンドミニアム(家賃)あたりの例を挙げて、シンガポールの物価の高さを力説します。

このサイトでも、ラーメン、日本蕎麦、とんかつなどの日本食レストランの値段の高さはご紹介していますし、わかりやすいところで、スーパーの商品の物価なんかもご紹介しています。

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でも、忘れてはいけないのが、医療費。

どんな健康優良児でも風邪は引きますし、ケガもします。日本では我慢する人も、異国の地では悪化するのが不安なので、結構病院にかかりやすくなるんではないでしょうか。

ということで、今回はシンガポールの医療事情をお伝えします。

もくじ

シンガポールの医療事情

まずは、ちょっとまじめなお話から。

日本人の方は直接必要じゃない情報なんですが、シンガポール人の友達や同僚と話す機会なんてもあるかもしれませんので、まずは、現地の医療制度をざっくりと。

DPF制度

シンガポールは国民健康保険制度ではありません。シンガポールが独立した時に、日本の官僚をシンガポールに招いてアドバイスを求めるなど、日本の国民皆保険制度を多いに参考にしたらしいのですが、長期的に維持することが困難ということで採用を見送った経緯があります。

その代わりに、シンガポールはCPF(Central Provident Fund)と呼ばれる年金制度を創りました。シンガポール人は給与天引きで積立を強制され、いざという時には、その積立金を取り崩して医療費をねん出できるようにしています。自分のことは自分で、っというのが根底にある考え方です。

CPFは、確定拠出年金のようなもので、簡単に言えば、現役時代にお給料から天引きされ積み立てたお金と利息分を、将来受け取れるという制度です。積み立てたお金が受け取れるのは、老後の年金のほか、住宅の購入費やそのローン、入院などの多額の医療費の支払いや医療保険に充当する場合などに限られています。

使用制限はあるものの、自己の給与天引きによる拠出のほか、雇用主も拠出してくれるので、その分社会福祉という形で労働の対価が増加し、また、利息も市場金利よりも有利だったので、かつてはとても好感をもって受け入れられた制度でしたが、現在は低利や住宅価格の上昇などにより使用制限が重くのしかかり、少し嫌われている制度ですね。

いずれにしても、シンガポール国民とPR(永住権)保有者が強制加入させられる(加入できる)制度ですので、もちろん普通の日本人は加入できません。社会福祉制度ですので、シンガポール国民が享受します。日本では、5万世帯近くの外国人が生活保護を受けているそうですが、シンガポールでは絶対にありえませんね。あたり前といえばあたり前ですが。

シンガポールの医療費

いわゆる一般外来といわれる普通の病院に対しては、シンガポール政府より医療費の補助が出ていますので、比較的安価で診療を受けることができます。医療費に日本の点数制のようなものはなく、原則として各医療機関が自由に決定します。

日本人駐在員のためのシンガポール医療豆知識

日本の健康保険はシンガポールで使えるか

日本の健康保険は海外医療費もカバーしていますが十分ではありません。

日本円での給与支給があれば日本の健康保険を維持することができます。日本の健康保険は、実は海外で発生した医療費も保険の対象になるので、日本の健康保険を維持できている場合には、海外にいても安心と考えてしまう方もいるかもしれません。

が、海外でかかった医療費について日本の健康保険を使うためには、まずかかった医療費全額を一旦自分で支払う必要があり、その後保険金を請求するための書類作成や手続きが必要になります。また、保険が利く金額は、日本基準の(日本でうけたらならば掛かったであろう)医療費に基づいて計算されるため、現地での医療費が高額な場合には、負担額が高額になり保険で賄えない場合があります。日本の健康保険だけで現地で生活していくのは非常に危険、というよりも無謀であるとさえいえると思います。

民間の旅行保険に加入しましょう

多くの良識ある会社は、海外勤務の際には医療保険を手配してくれると思いますが、万が一自身で保険に加入しなければならない場合でも、忘れずに出国前に、必ず民間の旅行保険に入ってきてください。シンガポールの医療費の高さは想像をはるかに超えてきます。一旦出国すると、旅行保険に入れないケースもあるため、出国前に忘れずに保険に加入しましょう。日本の健康保険でまかなえる、健康には自身があるし…などとは絶対に思わないでください。異国の地ではいろいろなことが起こるものです。

おすすめの保険(旅の人にも)

こんな目立たない文中にこっそり書いていますが、とても大事な情報です。

自分は、いろいろ検討した結果、「たびほ(ジェイアイ傷害火災保険)」を利用しました(もちろん、保険屋さんの回し者ではありませんよ)。a) リーズナブル b) 駐在員対応保険がある c) 申し込み後の保険期間変更が柔軟 d) キャッシュレスの医療機関が豊富 e) アジアエリアを広くカバーしているので個人的な旅行にも兼用できるというのが主なポイントです。

申し込み(契約)も簡単、使い方もまったく手間要らず、出国後は比較検討していませんが、現地での使い勝手はとてもよかったです。いい保険だと思います。

日系クリニックでの受診体験、料金等について

キャッシュレスで診療を受けられる保険に加入し、キャッシュレスで受けられる医療機関へ行きましょう。

(どこの医療機関でもキャッシュレスで受診できるわけではありません。保険会社が指定した医療機関以外は、いったんご自身で立替払いして保険会社に保険請求する必要があります。必ずホームページ等で指定医療機関を確認してから行きましょう)。

病気やけがの度によっては、医療費が信じられないくらい高くなる可能性もありますので、キャッシュレスで済むにこしたことはありません。

おすすめの病院(日本語のわかる医師が常駐)

何か所か利用したことがありますが、比較しても仕方がないので、自分がメインで使っている病院をご紹介します。もちろん、日本の保険がキャッシュレス対応なら、現金なしで受診することができます。(医療費は、病院から、保険会社に直接請求されます)

ジャパングリーンクリニック(ホームページ 日本語)

お医者さんや看護師さんも、受付の方も、日本語で対応してくれます。

本院がオーチャード、分院がシティホールという駅にあります。受けたい診療科があるかどうかにもよると思いますが、シティホールの分院の方が駅から極近で利用しやすいです。

医療費はだいたいどのくらいか?

医療費の相場をつかんでいただく目安として、以下の体験談を参考にしていただければと思います。

① 食中毒(シンガポール)

暖かい国なので食べ物がいたみやすいです。赴任してすぐに食中毒(下痢やおう吐)に掛かる人が多いようです。自分もしっかりあたりました。フランス人の同僚も、赴任してすぐに1週間くらい入院したと言っていたかな。

自分は幸い軽症で日帰りでしたが、日系のクリニックで点滴を打って、お薬をもらって、医療費は総額で5万円くらいだったという記憶があります。(少し昔のことで記憶があいまいですが)

② インフルエンザ(シンガポール)

この暑いシンガポールで、信じられませんがインフルエンザが流行ります。お医者さんいわく、室内はガンガンに冷房が効いていて寒いのでインフルエンザ菌が生きられるのだそうです。南半球、北半球、両方から人が来るので、寒い地域から年中人が来るのも原因だとか。

自分もかかりました。日本でかかったことがないのに、シンガポールで初めて。

検査して、タミフルもらって、医療費は400シンガポールドルくらい(3万2千円くらい)しました。

③ 足の裏のウニの刺抜き(シンガポール)

タイに旅行に行ったときに、裸足で海中のウニを思いっきり踏みました。話しは長くなるので割愛しますが、残念な島めぐりツアーに参加してしまい、ウニだらけの海中を歩かなければいけない羽目にあったんです。

タイ・プーケットのピピ島ツアーには、絶対に参加するな!

・しばらく放っておきましたが、刺が数十箇所以上刺さりっぱなしで少し腫れてきたので帰国後シンガポールの病院へ行きました。

刺を抜いて、塗り薬と抗生物質をもらって、医療費は総額で580シンガポールドル(5万円弱)。

保険に入ってなかったら、多分病院に行かなかったと思いますが… こういう時は何気にお金要らずの保険は便利です。

④ 腕の骨折(シンガポール)

腕を骨折して、手術して数日入院した友人曰く、医療費は総額で200万円くらいだったそう。クレジットカードに附帯する保険を使っていたため、キャッシュレスが治療を受けられず、退院するときに一旦立替払いをして、後日保険請求したそうです。

病院の受付で200万円のクレジットカード決済。目玉が飛び出ます

でも、骨折くらいは起こり得ますからね。保険は絶対に必要ですね。

救急車の利用は慎重に

最後に救急車に関する情報を。日本とは違いますので、少し注意が必要です。

救急車は2種類あります。緊急用と非緊急用… 非緊急用の救急??

緊急用の救急車は995番で呼ぶことができます。緊急とは、死の危険や重篤な合併症の発生など、迅速な処置が必要な場合のことです。したがって、意識がないような状態や呼吸が困難な場合などは救急車は無料ですが、医師が緊急状態と判断しない場合には274ドルが請求されます。

通常の病気で自力で病院に行くことが困難な場合には、非緊急用の民間の救急車を使います。1777番で呼ぶことができます。料金が120ドルからとなっています。こうなるとタクシーと選択に迷うところですが、救急車ですので車内で応急処置を受けられるので、その意味での利用価値はあります。

料金がかかるので迷うかもしれませんが、実際に救急車の利用が頭によぎるときというのは、少なからず緊急性を感じているときでしょうから、お金を払ってでも迷わず使ったほうがいいかなっと思ったりします。

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