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新型コロナ感染症対策として世界中でソーシャルディスタンシングが実施されるていますが、その一環で掲げられる標語としてSTAY HOMEという言葉を目にすることが多くなって、一瞬あれ?て思った方も多いのではないでしょうか(多くないかwww)。
STAY HOMEだっけ?STAY AT HOMEだっけ?
HOMEの意味は?
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ホーム(home)という英語は、日本語でもよく使われる比較的馴染みのある単語のくせに、ちょっと使いにくいですね。
理由は、同じhomeというスペルで、①名詞(我が家とか、家庭という意味)だったり、②副詞(家へとか、家でとか言う意味)だったりするからです。
(homeの意味)
名詞:①わが家,自宅(生活する場所という意味あい)②家庭③故郷④本拠地など
副詞:①家へ②家で
特に副詞のhomeの方がしっくりきにくいですね。
私たちが日本語で、〇〇へ行くと表現する時は、〇〇へという格助詞を使います。
英語の勉強では、この格助詞(~へ)と前置詞(to)が同じようなものと教わるので、このto(前置詞)と用いずに、一単語で「家へ」ということを表すhomeの使い方に違和感を感じるんだと思います。
こういう単語は他にも、here(ここに)、there(そこへ)、abroad(外国へ)、outside(外へ)なんかがあります。このあたりの単語は、同じように混乱しやすいので、苦手な方が多いですね。
例えば「そこへ行く」みたいな表現をする場合、✖ go to there と言ってしまう人が海外勤務者でもたまにいます。
英語脳的には、go(行く)を言ってから、どこへ?を考えるんですが、go to が(~へ行く)という形でセットになっている方は、go to(~へ行く) と言ってから、there(そこ)を付けたすので、そうなっちゃいます。
homeも同じ形ですね。
・homeを副詞として使う場合には、こうなります。
stay home(動詞+副詞)
・一方、homeを名詞として使うと、こちらの表現になります。
stay at home(動詞+前置詞+名詞)
どっちが正解なんでしょうか?
Stay home、Stay at home どっち?
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(結論)どっちでもOKです。
どっちでもOKなのかよ(笑)
どっちでもOK!これがまた混乱させます。
実際英語のニュースを見ていると、stay home と stay at home どちらも使われています。
stay home はアメリカ英語、stay at home はイギリス英語 という区別をする場合もあるようです。
確かにアメリカのニュース記事では、ほとんどstay homeですね(もちろん全部調べたわけではないですけど…)。
また、ヨーロッパのニュース記事では、ベッドラインでも、stay at homeが使われているケースが比較的多そうです。が、stay homeもちらほら。
僕が働いているシンガポールは、旧イギリス領ということもあり、ベースはイギリス英語ですが、必ずしもstay at homeが使われているわけではありません。政府からの通達にもstay homeという言葉が使われています。
Stay home、Stay at home のイメージ(視点の違い)
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どっちでもいいのは確かですが、それだとちょっと面白くないので、もう少し掘り下げてみましょう。
homeの副詞としての意味を辞書で調べると、
to or at the place where you live
と出てくるので、やっぱりat home(home は上の英語での説明分の、the place where you liveに該当)と同じかなと思いますが…
at home の、at がhome(寛げる家庭や住居空間)にいるイメージがあるのに対して、home が、外から住居へ、とか、(外から見て)住居に、といったイメージがあるので、言葉を聞いた時の感覚は少し違いますね。
stay home というと、住居の外を意識して家の中を表現している感じ。自分以外の人が使うのに適しています。
対してstay at home は、家族とくつろいでいるとか、自分だけの住居空間でリラックスしているような雰囲気があるので、自分の時間の使い方(例えば、休日は家でゆっくりしていました、といった表現)を表現する場合に適しています。
そういう意味では、新型コロナウィルスにおけるソーシャルディスタンシングの一環としての自宅待機要請は、他人からの要請ですので、やっぱりstay home の方がしっくりきます。
といっても、世界共通言語としての英語表現って結構ファジーなので、こんな違いは検討にも値しないんですけどねw。ネイティブさんは微妙なニュアンスが気になるかもしれないけど…
Stay home、Stay at home のイメージ(選択肢の有無の違い)
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上の例では、前置詞(at)と副詞(home)がが持つ空間イメージに着目して、2つの表現のニュアンスをご説明しました。
今度は、at home という表現が特定の場所を指定している、そんなニュアンスから感じとられるイメージです。
at home とわざわざ言うからには、at hotel とか at workなどの選択肢がありつつ、at home と言っているように聞こえる場合があります。
対して、homeは、自宅を一本釣りで指定している感じです。家しか考えてない、迷いのない姿勢です(at home と比べた場合のhomeという言葉が持つ雰囲気のお話しです)。
stay at home は、自宅のように他者との接触を避けられる場所に待機してください。他者と接触が避けられるならhotelでもいいですけど。みたいな感じ(ちょっと極端ですが)。
stay home は、自宅待機!自宅ですよ!みたいな感じ(ちょっと極端ですが)。
いずれにしても、stay home の響きには、stay at home の響きよりも、自宅を強く意識した感じに聞こえますので、この意味でも、ウィルスにおけるソーシャルディスタンシングの一環としての自宅待機要請は、やっぱりstay home の方がしっくりきます。
シンガポール政府のソーシャルディスタンシング規制の発動履歴を見ていると、2020年2月には、Stay-at-home Notice という表現が使われていましたが、2020年4月には、Stay-home Noticeに変わっています。
感染者が増えるにしたがって、規制がだんだんと強くなった様子が、この2つのNoticeから伺い知ることができます。
が、繰り返しになりますけど、意味を理解する、コミュニケーションをとるという言語の目的を達するためには、大した違いではありません。
home を使ったよくある英語表現
せっかくなので、home を使ったイデオム(熟語)も見ておきましょう。
make yourself at home:くつろぐ
stay-at-home mom:専業主婦
work from home(WFH):在宅勤務
このあたりを押さえておけば良さそうですね。