IFRSのための会計英語|非継続事業から生じる損益【日本基準とIFRSは違います】

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非継続事業から生ずる損益?損益計算書に表示される科目です。日本の会計基準とIFRSとの大きな違い(差異)の一つですが、発生頻度が高くないと(勝手に)思われ、あまりクローズアップされない不思議な基準です。

この「非継続事業から生ずる損益」ですが、日本基準の決算書ではそのような科目表示は求められていないため、見たことがないという方がほとんどかと思いますが、IFRSでは、IFRS 5号「売却目的で保有する非流動資産および非継続事業(Non-current Assets Held for Sale and Discontinued Operations)」に規定されている、意外と重要な科目です。

シンガポールのようにIFRSにほぼ準拠している国の財務諸表を読んでいると、しばしば「非継続事業から生ずる損益」という科目を目にします。成長する東南アジア諸国、事業進出も盛んですが、同時に事業を整理撤退することも多く、そのように事業撤退を決めた場合にはこの「非継続事業から生ずる損益」という科目に撤退事業からの損益が集計されることになります。

とはいえ、この「非継続事業から生ずる損益」という科目、基本的には読んで字の如しなので、知っていればいいだけだと思います。日本の決算書では見かけない科目なので、知らないと「なんじゃ?」ってなるので、サクッと、この記事を読んで記憶に留めておきましょう。

ああ、そうそう。こうやって記事を書く前には、当然読んでいただくみなさまに正確な情報をお届けしようと、IFRSの原文や事例となる英語の決算書のほか、該当項目に関する別のサイト情報なんかも読み込んでみるわけですが、なーんかあれですね、何年も前に書いたような、しかも、テキトーな内容の記事が多いですね(笑)。

専門家が嘘を書いてますから。情けない時代ですね。

ということで、キチンと調べてみました。IFRSの原文をあたりながら、非継続事業から生ずる損益とはなんなのかから見ていきましょう。

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非継続事業から生じる損益とは?

「非継続事業」の定義は、IFRS 5号の32項に記載されています。

A discontinued operation is a component of an entity that either has been
disposed of, or is classified as held for sale, and

(a) represents a separate major line of business or geographical area of
operations,

(b) is part of a single co‑ordinated plan to dispose of a separate major line
of business or geographical area of operations or

(c) is a subsidiary acquired exclusively with a view to resale.

太字の部分が肝ですね。has been disposed 、完了形ですね。つまり、すでに処分が完了した事業、もしくは、is classified as held for sale 、つまり、売却目的保有に分類された事業(企業の構成単位)のことを言います。

売却目的保有は、同じIFRS 5号の7項に以下のように定義されていて、

the asset (or disposal group) must be available for immediate sale in its present condition subject only to terms that are usual and customary for sales of such assets (or disposal groups) and its sale must be highly probable.

現況ですぐに売れる状態で、かつ、売却する可能性が非常に高い、という状態のことを言います。

「非継続事業」とは、「廃止事業」や「売却予定事業」と同じ意味であると思って頂いて構いません。なんて、書いてある、しょうもないサイトを見て、ある事業を中止して売ることを決定した(売却予定事業)から、その事業から生じる損益は「非継続事業から生じる損益」だ、なんて言わないようにしてくださいね。

非継続事業から生ずる損益はどう表示する?

なぜ、IFRSをはじめとする海外の決算書では非継続事業から生ずる損益を分けて表示されるのか、なぜ、日本の会計基準では非継続事業から生ずる損益をわけないのか、これを説明すると理解が進んで一発終了なんですが、そもそも、日本基準にないこの「非継続事業から生ずる損益」がどんな感じで表示されるかを知らないと、それはそれでピンとこないと思いますので、もう少し寄り道して、英語表記の表示を見ておきましょう。

例示)英語の財務諸表

事例をお示しするとこんな感じです。「非継続事業から生ずる損益」を表示する損益計算書では、上段で、継続事業(Continuing Operations)に関する損益を計算して、最後に「非継続事業から生ずる損益」を加減算して最終利益を計算します。

上の表で、赤字の部分が、Income/Loss from Discontinued operation がそれです。

そのすぐ上が、Profit from continuing operations 、つまり継続している事業から生ずる利益ですね。

なぜ非継続事業から生ずる損益を別表示するのか

非継続事業から生ずる損益を別表示するのには、もちろん、ちゃんと理由があります。もっというならば、日本基準が非継続事業から生ずる損益を別表示しないのにもちゃんとした理由があります。

すぐにIFRSは進んでいるという短絡的な思考に走る人がいますけど、日本人がそんなにアホなわけあるか!って思いますね (笑)

日本の立場からすると、損益計算書は、企業の業績、すなわち決算期間1年間の事業活動の結果を表すものなので、これから売却する事業から生じた損益かどうかなんか関係ないっしょという考えです。事業廃止が決まっていれば、資産は減損されているし、重要ならセグメント情報か何かで開示されるし、将来売却される事業とか企業が勝手に決めて、段階損益をゆがめるなんて、けしからんという考えです。

これに対してIFRSは、もう資本主義の権化。投資家目線がバリバリ効いているわけです。資本主義なんだから、企業にお金を出す奴が一番偉いんだ!投資家の言うことを聞け!っというわけです。

神様の投資家は、この会社はいくならなのか、正確に教えろ!ってなるので、これから続けない事業の損益情報なんか要らん、となるわけです。今後続ける事業から生じる損益(キャッシュフロー)、すなわち会社がこの後獲得できるお金を、割引計算して、会社の価値を評価する(株式の値段を決める)からです。

IFRSの根底にはいつもそんな糞な考えが流れています。糞ですが、それを前提にすると、理解しやすいのも事実です。

非継続事業から生ずる損益の英語表現

本当はこちらが本題ですね。でも、あまり英語表現自体はあまりないです😓

日本にはない科目なので、英訳よりも、英語を読んで意味が分かるということが重要ですね。

英語 日本語
Income/Loss from Discontinued operation 非継続事業から生ずる収益/損失
Cash flows of discontinued operation 非継続事業から生ずるキャッシュフロー

英語はこれくらいを押さえておけば十分でしょう。

非継続事業に関しては、そこから生ずる損益とキャッシュフローの概要と内訳を注記して、より詳細に説明するのがIFRS流です。

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