IFRSのための会計英語|有形固定資産について知っておくべき会計処理

最近は、レンタルオフィスやサービスオフィス、はたまたバーチャルオフィスとかいって、登記上だけの住所で営業する会社なんかも現れて、有形固定資産をもたない営業スタイルが人気ですが、それでも、一般的には、大きな会社になればなるほど、有形固定資産を多く保有しているのではないでしょうか。

会社が大きくなって、事業規模が大きくなれば、事業所や店舗などのために、土地や建物、そしてその付属設備や構築物などが必要になりますし、製造業では工場などのために機械装置を稼働させる必要があります。

有形固定資産の保有形態は会社の規模や事業内容によってまちまちですが、有形固定資産を保有していると、減価償却計算をしなければなりませんし、減損損失の必要性を検討しなければなりませんし、会計処理として求めれれることが増えてきます。

固定資産は一度取得すれば毎期同じような会計処理が続きますし、同じような論点がポイントになる傾向にあります。まずはそれぞれ必要な会計処理をざっくりと掴んでおきましょう。

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有形固定資産の種類

日本の決算書では、有形固定資産は、土地、建物、建物附属設備、構築物、機械装置、工具器具備品、リース資産、建設仮勘定…なんて細かく分類して表示されますが、IFRSをはじめとする海外の貸借対照表では、一般的に有形固定資産を細かく分類せず、有形固定資産一本で表示されます。

有形固定資産は、英語で、Property, plant and Equipment 略してPP&E と表示する場合が多いですが、Fixed asset や Tangible asset なんかも使われます。相変わらず、統一感がないので、いろいろ覚えなければいけない感もありますが、会計用語はいつもそうなので、慣れるしかないですね。

日本の貸借対照表に計上される(可能性のある)科目をベースに英語表記をみてみましょう。

日本基準 英語表記
有形固定資産 Property, plant and equipmen
 建物  Buildings
 建物附属設備  Facilities attached to buildings
 構築物  Structures
 機械及び装置  Machinery and equipment
 船舶  Vessels
 工具、器具及び備品  Tools, furniture and fixtures
 車両運搬具  Vehicles
 土地  Land
 リース資産  Leased assets
 建設仮勘定  Construction in progress

こんな感じでしょうか。

日本ではあまり見かけない船舶(Vessels)なんかは、貿易の盛んな国ではよく見かける勘定科目です。普段の生活ではあまり使わない Vessel なんて単語も覚えておくと便利です。

減価償却の会計処理

これは…すこし例示しておいた方がいいですね。

例)

令和2年 4月 1日 機械装置1,000万円を現金で購入

決算日:3月31日

耐用年数(使える年数):5年

残存価格(使い終わった時の価値):0円

減価償却方法: 定額法(毎年一定額を耐用年数にわたって均等に償却)

という例示で行くと、

(購入時)令和2年 4月 1日

  借方(Dr) 貸方(Cr)
日本語 機械及び装置 現金
英 語 Machinery and Equipment Cash

(決算時)令和3年 3月31日

減価償却費を計上します。減価償却費は以下の計算式で計算した額になります。

(取得価額 1,000万円 – 残存価格 0円)÷ 耐用年数(5年)= 減価償却費 200万円

  借方(Dr) 貸方(Cr)
日本語 減価償却費 減価償却累計額
英 語 Depreciation Accumulated depreciation

この結果、決算書は以下のようになります。

〇 貸借対照表

機械及び装置 1,000万円

減価償却累計額 - 200万円

機械及び装置(簿価)800万円

〇 損益計算書

減価償却費 200万円(費用)

とても簡単な例示ですが、減価償却費というのは、固定資産でも使った分だけ費用化しましょうというルールです。今回の例だと、1,000万円の資産を購入していますが、それが5年間使えるなら、5年にわたって均等に償却して費用化していきましょうということです。

ここでは、耐用年数 5年、残存価額 0円、減価償却方法 定額法、ともにそういう仮定をおいて計算しているということですね。

この仮定計算は、会社の都合で変更されては、会計数値の操作ができてしまうので、会計方針として決めてください。そして、その会計方針を財務諸表に注記してください、というように決められています。

ということですので、英語の決算書を読んだり、作ったりする場合には、このあたりの会計用語は知っておかなければ、ということになります。

減価償却に関連する会計用語まとめ

ということで、減価償却費、減価償却累計額、減価償却方法、耐用年数や残存価額など、減価償却に関連する会計用語の英語表現を一旦まとめておきましょう。

日本語 英語
減価償却費 Depreciation
減価償却累計額 Accumulated depreciation
取得原価 Acquisition cost
簿価(帳簿価額) Book value
耐用年数

Useful life

(Economic life, Service life, Depreciable life,  Durable life)

残存価額

Residual value

(Salvage value)

(減価償却の方法)     
定額法 Straight-line method
定率法 Accelerated method
200%定率法 Double Declining Balance method
生産高比例法   Unit-production mathod

減価償却に関する会計方針の例示

※ 英語と日本語(訳)を交互に記載しています

Property, plant and equipment (excluding leased assets)

有形固定資産(リース資産を除く)

Property, plant and equipment are stated at cost, net of accumulated depreciation and accumulated impairment losses.

有形固定資産については、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。

The cost of property, plant and equipment includes cost directly relating to the acquisition of assets, the costs of dismantling and removing the assets, and restoration costs.

取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び原状回復費用が含まれております。

Depreciation expense for assets except for land and construction in progress is recognized mainly by the straight-line method over the respective estimated useful lives.

土地及び建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上されております。

The estimated useful lives of major asset items are as follows:
・Equipment 2 to 20 years
・Buildings and structures 3 to 50 years

主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
・器具備品 2年~20年
・建物及び構築物 3年~50年

減損損失ってなに?

減損って、最近新聞やビジネス雑誌とかでやたらと目にするようになりましたね。

「のれんの減損によって大幅減益!じゃじゃーん」みたいな記事をご覧になったことがあるかもしれません。

減損は、固定資産の市場価格や将来の収益力の大幅な低下によって、固定資産に対する投資が回収できないと見込まれる場合に発生する損失です。

なんだかわかりにくいので、もう少しわかりやすく説明しましょう。

例えば先ほどの例。会社が1,000万円の機械を購入するのは、その機械で製品を造って1,000万円以上の売上を上げることができると踏んでいるからです。最悪の場合は、その機械を市場でそのまま売ってしまえば1,000万円以上で売れるかもしれません。

つまり、その機械が、製品の売上か、その機械の売却代金で、1,000万円以上を会社にもたらすから、貸借対照表に1,000万円と記載することがゆるされるわけです。それだけの価値があるから、ですね。

しかし、新型の機械が発売されて、もはやその機械は誰も買わないとか、100万円くらいでしか売れない、と言った場合にはどうでしょうか。100万円の価値しかないのに、貸借対照表に1,000万円と記載しておくのはおかしいですよね。貸借対照表を見た人は、1,000万円の価値がある機械を持っていると思っているのに、実際は100万円の価値しかないなんていったら、詐欺ですから。

そこで、そのような場合には、100万円まで価値を落としましょう。900万円の減損損失を計上してください。というふうになるわけです。

ところが、ここで会社が反論します。

いやいや、この機械で製品を造れば、それを売って1,200万円の売上をあげることができるんです、と。

そうなれば、形は違いますが、1,200万円の現金が入ってくるわけですから、その機械は1,000万円の価値はありますね。ということになります。

これが、最初に記載した減損の定義で、固定資産の「市場価格」や「将来の収益力」の大幅な低下、という2つの要件を勘案している理由です。

「市場価格」と「将来の収益力」のどちらか高い方まで、固定資産の評価を落とすのが減損損失です。

減損のIFRSと日本基準の相違

海外の多くの国が採用、または参考にしている、IFRSの減損会計は、日本の会計基準と少し相違点があることを押さえておきましょう。相違点は、以下の2点です。シンプルに覚えたほうがいいです。

✅ IFRSの方が早く減損損失が計上される

IFRSでは、割引前将来キャッシュフローと簿価を比較するというステップがありません。減損の兆候を認識した場合、即、割引将来キャッシュフローを計算して、簿価より下回っていれば、そこまで固定資産の簿価を落とし、減損損失を認識します。

✅ IFRSは減損損失の戻し入れがある

日本基準では、一旦落とした固定資産の評価は、そのあと価値が回復しても元に戻すことはありません。一方、IFRSでは価値が回復すれば戻し入れを行います。ただし、のれんの減損については、戻し入れは行いません。(自己創設のれんになるからです)

戻すのは、当初から減損をせず、減価償却を続けていたと仮定した場合の戻し入れ判定時点の簿価までです。

もう一点だけ注意があります。これは、減損の論点ではないですけど…

日本基準では減損損失は特別損失に計上されますが、IFSRでは、特別損益はないので、減損損失も、その戻し入れも、通常は営業損益として表示されます。

減損損失に関する会計英語

ここまでくれば、英語表現だけ…ですが、減損の場合、勘定科目だけでなく、専門用語もあるので…ちょっと大変かも。もとの言葉がわからないと??ですからね。

まあ、焦らずゆっくり行きましょう🙂

日本語 英 語
(勘定科目)  
減損損失 Impairment loss
減損損失累計額 Accumulated impairment loss
減損損失の戻し入れ Reversing an impairment loss
(減損の用語)  
帳簿価格 Carrying amount
資金生成単位(資産グループ) Cash‑generating unit
公正価値 Fair value 
回収可能価額 Recoverable amount 
使用価値 Value in use
耐用年数 Useful life
減損テスト Impairment test
兆候 Indication of impairment
測定(回復可能価額の) Measuring(recoverable amount)
仮定 Assumption
戻す Restore
将来キャッシュフロー Future cash flows
割引率 Discount rate
割引将来キャッシュフロー Discount future cash flows
割引現在価値 Present value
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決算や経理で使う会計用語の英語表現をまとめ上げました。

英語の会計用語でわからないことがあったら、こちらを覗いてみてください。

和訳英訳だけでなく、会計用語の解説記事へのリンクもついているので、難解な会計用語もサクサク検索できます♪

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