IFRSのための会計英語|売掛金や貸倒引当金に関する会計用語を押さえておこう

自社の商品を売ってその場で現金をもらえる商売も少ないですよね。たいていは、掛け売り、つまり、しばらくしてからお金が振り込まれる、そんな会社さんが多いのではないでしょうか。

これは主にIFRSを採用する海外の商慣習でも、日本の商慣習でも同じです。

海外では、一般的に、クレジットカードの普及が日本よりも進んでいると言われますので、小売店ですら即現金を受け取ることは、相対的に少ないと言えます。

現金で商品を販売できれば、損益計算書に売上を計上するとともに、貸借対照表に現金を計上すれば済むのでなにも難しいことはないのですが、掛け売りとなると、いつも簡単とは限りません。

掛け売りの場合、販売時に貸借対照表に一旦得意先に対する債権(売掛金)を計上しますが、これが無事に回収されるとは限らないからです。

通常は契約で回収サイトが決められていて、ほとんどの場合は回収期日までに得意先から売掛代金の入金があるのですが、得意先の業績が悪く、資金繰りの目途が立たず、債権が回収できないということが、ビジネスの世界では間々起こり得ます。

もし売掛金の回収ができない場合には、せっかく計上した売掛金は、貸倒損失ということで、費用又は損失となります。計上した売掛金は、いつもこのような貸倒れのリスクを抱えているため、将来回収できるかどうか売掛金を評価する必要ができてきます。これが貸倒引当金です。

こんな感じで、ビジネスの世界では当たり前に行われている掛け売りですが、会社としては、回収できないかもしれないというリスクと常に背中合わせなので、計上した債権がきちんと回収されているか、いつも注意を払っていかなければならず、債権管理は会社の管理職や役員にとって大きな関心ごとにひとつです。

海外勤務をはじめると、会社での役職が、何ランクもあがり、経営サイドのマインドが求められます。単に販売していればよかった一兵卒の時代とはちがう視点で会社を見ることが求められ、債権の回収という経営の重要な課題にるいて英語での報告を求められることもしばしば。

そんな営業債権(売掛金)にまつわる会計英語を、ちょっと覗いてみましょう。

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売掛金に関する英語表現

日本語では一語で表現できる言葉であっても、英語にはそのようなスッキリと一語で表現できる単語が用意されていないため、英語である単語を表現したい場合、なんだか回りくどい、状況説明のような表現になってしまうことがしばしばあります。

売掛金もそのひとつです。

『Accounts Receivable』Receivable(受け取ることができる)Account(勘定)です。さらに、営業債権(売掛金)とその他の債権(未収金)を明確に区別したい場合には、Account Receivable – Trade(売掛金)、Account Receivable – Other(未収入金)というように分けたりします。

なんとなく言い回しがくどいですが、売掛金はビジネスの世界では基本的な単語ですので、これだけは早めに覚えてしまった方がいいと思います。

売掛金は、イギリス英語で、Trade Debtors というように訳されることがあります。Debt 負債を負うという意味で、Debtor は債務者です。ん?混乱しますよね。

債務者なのに売掛金?

そうなんです。

理屈はこうです。Debtorというのは、まだお金を払っていない人という意味。商品を販売した会社が、売掛金の内訳を作成すると、まだお金を払っていない人(Debtor)のリストが出来上がるわけです。つまり、売掛金というのはDebtorsの集まりというわけです。

なんじゃそりゃ。もう覚えるしかないっすね(笑)

日本語 英  語
売掛金

Account Receivable(A/C), Account Receivable – Trade, Trade debtors

ちなみに… さらに混乱しそうですが… 

債権者 = Creditor ですが、イギリス英語では、Trade Creditors は買掛金のことを指します。

受取手形に関する英語表現

最近は、手形を扱う会社の減ってきましたけど、それでも業種によっては商慣習で手形を使う会社もあるので、英語だけおさえておきましょうか。

日本語 英  語
受取手形

Notes Receivable, Notes, Bills, Drafts, Acceptances

貸借対照表に表示されるのは、Notes Receivable だけといってもいい感じですが、ビジネス英語では、いろいろな表現が使われます。

Note は、Promissory note(約束手形)の略です。Bill は、支払義務が記載されたものを一般的に指しますが、手形という意味でも用いられます。また、Draft と言う場合は、裏書可能な手形をさします。そして、Acceptance は、商業引受手形(Trade Acceptance)や銀行引受手形(Banker’s Acceptance)の略として使われます。

期日になっても入金されない手形(不渡手形)は、Dishonored note receivable と言います。Dishonor は「不名誉な」という意味ですが、手形や小切手の前につける場合には、「不渡りの」という意味になります。なので、不渡小切手は、Dishonored check という感じになります。 

関係会社に対する債権

もうひとつ、若干混乱するのが、この関係会社に対する債権です。

英語では、Account Receivable due from related companies とか言います。

逆に関係会社に対する債務は、Account Payable due to related companies になります。

Due は「払われるべき」という意味なので、Due from は、〇〇から払われるべきということで、こう考えると債権で納得なんですが、前置詞の from と to に着目すると、to が債権のような気がしてきて混乱します。

Due は「払われるべき」という意味であることをしっかり押さえておくと混乱しにくいと思います。

貸倒損失・貸倒引当金の英語表現

現金で販売する場合と違って、掛けで商品を販売すると、やっぱり売上代金を回収できないリスクがつきものです。

スーパーやコンビニのように、商品と引き換えにその場で現金をもらう場合には、代金を回収できないなんていうことはないのですが、普通の会社同士の取引では、その場で現金決済なんてことは稀で、掛けで商品販売がなされることがほとんどです。例えば月末締めの翌月末払いというような条件で、取引が行われますよね。

そうすると、商品を売った会社の財政状態が悪く、代金が回収できない、なんていうことが起こりうるわけです。

このリスクに対処するために、会社は得意先の財政状態をチェックして、与信枠を設定したりします。この会社の規模なら、月にこのくらいまでなら掛売りしても大丈夫、その金額設定が与信枠です。

与信枠=Credit Limit

このように、会社運営においては、与信枠というのはとても重要ですの、まずは、この単語を押さえておくといいでしょう。

✅ 貸倒損失

得意先の信用調査をして、与信枠を設定して信用リスクに対処していても、得意先の財政状態が急変し、債権を回収できないことがあります。

これを貸倒損失をいいます。

貸倒損失=Bad debts expenses(losses)

Bad Debt というのは、いわゆる不良債権。回収不能債権のことです。不良債権の費用、つまり貸倒損失というわけです。

✅ 貸倒引当金

すこし会計学チックになってきますが、会社経営においては、このように債権が回収できないリスクというのが常に存在します。このようなリスクを財務諸表に反映させるのが、貸倒引当金です。

簡単な例でいうと、A社に商品を50,000円分販売して、債権が50,000円あったとします。A社の財政状態が急激に悪化して、どうやら30,000円しか回収できそうにない。そうなった時に、回収できそうにもない20,000円については、貸倒引当金を設定しましょう、といことです。

実際に30,000円しか回収できないことが確実なら、貸倒損失を20,000計上しますが、「回収できそうにもない」という未確定な状況の場合には、貸倒引当金を20,000円計上します。すこし乱暴な説明ですが、わかりやすくいうとそういうことです。

貸倒引当金=Allowance for doubtful accounts

貸倒引当金繰入額=Provision of allowance for doubtful accounts

【仕訳で確認しておこう】

✅ 貸倒損失

貸倒れが確定したときに会計処理を行います。回収できないことが確定しているので、売掛金の額を直接減額して、貸倒損失を計上します。

  借方(Dr) 貸方(Cr)
日本語 貸倒損失 売掛金
英語 Bad debts expenses(losses) Account receivable

✅ 貸倒引当金

貸倒れになりそう、という時に会計処理を行います。回収できるか、できないか、わからいので、売掛金(債権)の額はいじらずに、引当金を計上します。

  借方(Dr) 貸方(Cr)
日本語 貸倒引当金繰入額 貸倒引当金
英語 Provision of allowance for doubtful accounts Allowance for doubtful accounts

貸倒引当金に関するIFRSと日本基準の違い

今回はどんどんアカデミックになってしまいますが…

貸倒引当金を設定するというのは、債権の計上額に対して実際にいくら回収することができるかを算定するということ、つまり債権を評価するということを意味します。

この債権の評価について、日本基準では、債権を「一般債権」「貸倒懸念債権」「破産更生債権等」に区分して、それぞれの区分に応じて回収不能額を見積もることを要求しています。

「一般債権」なら、過去の実績から貸倒の発生率を見積もって引当金を設定します。例えば過去に、1,000万円の債権残高があって、そのうち10万円の回収不能があったとすると、貸倒実績率は1%(10万円÷1,000万円)となり、当期の売掛金(一般債権に区分)が2,000万円あったとするならば、20万円(2,000万円×1%)の貸倒引当金を計上します。

「貸倒懸念債権」「破産更生債権等」については、得意先の財政状態を勘案して、個別に実際に貸倒れになりそうな額を見積もって貸倒引当金を計上することになります。

これに対して、IFRSでは、IFRS 9号のFinancial Instruments(金融商品)で、債権の評価について、包括的に規定しているのみです。原則主義のIFRSらしく、回収不能になりそうな額(回収できそうな額)を見積もって債権を評価しなさいと書いてあるだけです。

一見簡単そうですが、個別債権ごとに回収できそうな額(キャッシュフローの額)を見積もるのはとても難しいことだと思います。実務上の運用としては、日本基準と同じような形も許容される場合も多いと思われますが、例えば貸倒実績率による評価のような、ざっくりとした評価は許容されない可能性が高いと考えられますね。

そうはいっても、将来いくら回収できるかなんて、神のみぞ知る。いろいろ仮定をおいて、数字をこねくりまわすだけですけどね(笑)

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英語の会計用語でわからないことがあったら、こちらを覗いてみてください。

和訳英訳だけでなく、会計用語の解説記事へのリンクもついているので、難解な会計用語もサクサク検索できます♪

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