IFRSのための会計英語|「IFRSには特別損益はない」の根拠知ってますか?

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このサイトで、この記事を書くときは、結構気楽に書いています。知っていることを吐き出すか、自分が興味を持って調べたことを書けばいいので。

おそらくIFRS関連の検索でこの記事に辿り着いた方がほとんどだと思いますが、実はこのサイト、シンガポールで働くサラリーマンのブログでして、シンガポールをはじめとするアジア諸国の文化や観光の情報がメインのサイトです。

その旅情報サイトが、なんでこんな情報を書くのかって?嫌らしい意味ではなくて、結構詳しいので書けちゃうという感じですかね。

IFRS関連の記事、最近は結構多いわけですが、なんか正確性に怪しいサイトもちらほら。まあ日本語情報が多くなってきてIFRSの大枠は理解しているんだろうけど、原文(英文のIFRS)は読んでないんだろうなぁっていう記事も多いですね。

まあそんないい加減な記事へのアンチテーゼで、ちゃんとした情報をお伝えしたい。そう思って記事を書いています。そういう意味では、観光情報の記事とスタンスは同じですね。

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日本基準の損益計算書の構造

ということで、本題に入りましょう!

まずは日本基準のおさらいから。

日本基準では、営業利益から営業外損益を足し引きして経常利益を計算する。経常利益から特別損益を足し引きして税引前利益を計算する。ですよね。

これ、何を根拠にしているかわかりますか?

企業会計原則ですよね。昭和24年にできた日本の会計基準です。その後何度か改正していますが、最終改正は昭和57年、1982年です。

その基準による財務諸表と、今もなお改訂を繰り返すIAS1号(財務諸表の開示)による財務諸表の比較をしているんですね。そりゃあ、違いがあるに決まってますね。

と脱線しましたが…

日本の企業会計原則って改めて読んでみるといいですね。なんかしっかりしてますよ。

損益計算書原則という大項目があってその第2条にはこんな感じで書いてあります。

~ 企業会計原則 ~

(損益計算書の区分)
ニ 損益計算書には、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。
 A 営業損益計算の区分は、当該企業の営業活動から生ずる費用及び収益を記載して、営業利益を計算する。二つ以上の営業を目的とする企業にあっては、その費用及び収益を主要な営業別に区分して記載する。
 B 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受けて、利息及び割引料、有価証券売却損益その他営業活動以外の原因から生ずる損益であって特別損益に属しないものを記載し、経常利益を計算する。
 C 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、前期損益修正額、固定産売却損益等の特別損益を記載し、当期純利益を計算する。
 D 純損益計算の結果を受けて、前期繰越利益等を記載し、当期未処分利益を計算する。

IFRSの書きっぷりと比較すると結構具体的です。

特別損益って何?

こうやって、興味の向くままに調べて記事を書いているわけで、そりゃあ気楽でしょ。でもちゃんと条文示すから、役に立つでしょ🧐

むかーし会計士の先生が、臨時かつ巨額なら特別損失でいいとか、臨時だけど巨額じゃないから営業外費用にした方がいいとか、言ってたなぁって思いまして…

調べてみると、特別損益というのも、ふるーい企業会計原則とその注解がよりどころみたいですね。それがこちら。

~ 企業会計原則 ~

(特別損益)
六 特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する。(注12)

[注12] 特別損益項目について(損益計算書原則六)
 特別損益に属する項目としては、次のようなものがある。
(1) 臨時損益
 イ 固定資産売却損益
 ロ 転売以外の目的で取得した有価証券の売却損益
 ハ 災害による損失
(2) 前期損益修正
 イ 過年度における引当金の過不足修正額
 ロ 過年度における減価償却の過不足修正額
 ハ 過年度におけるたな卸資産評価の訂正額
 ニ 過年度償却済債権の取立額
 なお、特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。

なかなか面白いですね。

IFRSでは、誤解を招くから区別するなとさえ言われている特別損益ですが、日本基準では、まず特別損益ありきです。特別な損益が通常利益(経常利益)に混ざると、企業の業績がちゃんと測れなくなるから除けておきなさにという感じの書きっぷりじゃないですか。

特別損益は英語でなんていうの?

これですよね。特別損益という項目がIFRSにないわけですから、英訳も難しいですね。

特別という言葉に引っ張られてSpecial Incomeとか言っている先生に会ったことがありますが、さすがに、ちょっとセンスがないですね。特別損益の特別ってそういう意味じゃないですからね。

特別利益、特別損失は、通常は、Extraordinary gain、Extraordinary loss、と訳されます。「Ordinary」は通常のとか、平時のとかいう意味なので、Extraordinaryは平時ではないというような意味合いでしょうか。

ちなみに、営業外収益と営業外費用は、Non-operating income、Non-operating expenseですね。

さらにちなみに、IFRSでは、Extraordinary gainも、Non-operating incomeもなく、単にその他の収益、Other income、費用はOther expenseです。

営業損益を基軸にして、それ以外は単にOther、その他、この感覚がIFRSなんですね。

IFRSには特別損益がないという根拠

簡単そうで意外と理解が試されるのがコレです。

答えはIAS1号の第87条。

An entity shall not present any items of income or expense as
extraordinary items, in the statement(s) presenting profit or loss and
other comprehensive income or in the notes.

企業は収益や費用のいかなる項目も、損益計算書や包括利益計算書または注記においても、異常項目として表示してはならない。

が根拠です。

ここでも、extraordinaryという普通でない(=異常)という意味の単語が使われています。それを別表示してはならないという表現です。IFRSには、…しなければならないという表現が多い中、…してはならないという表現、とても珍しい条文です。

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英語の会計用語でわからないことがあったら、こちらを覗いてみてください。

和訳英訳だけでなく、会計用語の解説記事へのリンクもついているので、難解な会計用語もサクサク検索できます♪

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