シンガポールのアルコール事情【専門家がまじめにわかりやすく解説】

シンガポールの日本酒・ワイン・ビール・ウィスキーなどのお酒(アルコール)に関する法律をちゃんと調べあげて、ちゃんと解説しましょう!

シンガポールへのお酒の持ち込み制限は?逆に日本に帰る時の持ち込み制限は?

シンガポールのアルコールの販売時間は?お酒は何歳から?

そんな疑問にぜーんぶお答えします。

法改正を知らないで入国時に申告を忘れると、恐ろしい罰金取られちゃうから気を付けてくださいね。古い情報のままのサイトばかりが溢れているので、ほんと要注意です!

シンガポール駐在の人はどれくらい免税に持ち込めるかしか興味がないし、観光の方は何時まで飲めるのかが興味の中心。という感じで、シンガポールのお酒事情に関するネット情報は結構偏っています。観光ガイド系のサイトに至っては、日本への持ち込み(持ち帰り)の規制を完全に無視して、シンガポール産のタイガービールをお土産に薦める始末。

まあショウガないですけどね。結局、法律とか税金とかの問題なので、みんな苦手なんだと思います。

ということで、シンガポールのお酒事情、ちゃんとした解説をしておこうと思います。

もくじ

シンガポールでは何歳からお酒を飲んでいいか?

まずは、全体的な話しから行きましょう。

シンガポールでは、お酒も、タバコも、18歳以上からOKです。

シンガポール国内では、シンガポールの法律が適用されますので、日本人の18歳の方が、シンガポールで飲酒して、喫煙しても、法律違反ではありません。

シンガポールでは何時までお酒を飲めるのか?

2015年4月1日に施行された酒類規制法によって、午後10時半から午前7時まで、コンビニやスーパーなどの公共の場でのお酒の販売は禁止されていますし、レストランやバーなど特別に許可された場所以外での公共の場での飲酒も禁止されています。

敢えてわかりやすく表現するなら、

夜10時30分以降はコンビニでもお酒を買うことができません。

夜10時30分以降は、家の外の人目につくところでお酒を飲むこともできません。

ただし、レストランやバーは許可を取っているので、夜10時30分以降でも、レストランやバーではお酒を飲むことができます。ホテルの部屋や家の中は、そもそも公共の場ではないので、いつ飲んでもOKです。

という感じでしょうか。

重要なのは、午後10時30分になるとコンビニでお酒が買えなくなりますよ。ということだけかもしれませんね。

(なお、それなりのサイトでも、堂々と休日は〇〇時から、平日は△△時から、みたいに書いているところがありますが、この規制に曜日ごとの違いはありません。毎日午後10時30分~午前7時まで、です。)

違反した場合の罰則

これがあるからシンガポールは怖いんです。10時30分以降に、うかつに外でお酒を飲もうもんなら捕まります。初犯の場合、1,000シンガポールドル(110,000円くらい)以下の罰金。再犯だと、2,000シンガポールドル(166,000円くらい)以下の罰金または、3ヶ月以下の禁錮刑。

重い刑罰で、治安を維持している国なので、法律違反には十分注意してください。外でビールをすすっただけで、罰金8万円以上取られたんじゃ旅行がつまらなくなってしまいますので。

シンガポールに持ち込めるお酒の量はどれくらい?

正確には、免税でどれくらいのお酒を持ち込めるのか?ですね。

これについては2019年4月1日に法律が改正されて、現在は以下のようになっています。

お酒を持ち込める人は?

まず、量の前に、お酒を持ち込める人の条件があります。
1.年齢が18歳以上である
2.シンガポール到着前にシンガポール国外に48時間以上滞在している
3.マレーシア以外の国から到着している
4.酒類が個人消費を目的としたもの

なので、18歳未満の方は1リットルも持ち込めないですし、ちょっとシンガポールから1泊だけタイへ行ったなんて場合にもお酒を免税で持ち込むことはできません。マレーシアからの持ち込みも不可です。

旅行の方で当てはまる方は少ないと思いますが、例えば、マレーシアのクアラルンプールでトランジットしてシンガポールに入国した場合には、免税でのお酒の持ち込みはできないということになるので、すこし注意が必要ですね。

持ち込めるお酒の量は?

2019年3月31日以前は合計3リットルまでOKでしたが、2019年4月1日から以下のように、合計2リットルまで、に変わっています。

 蒸留酒ワインビール
11リットル1リットル
21リットル1リットル
31リットル1リットル
42リットル
52リットル

ちょっと分かりにくいですね。左の数字ごとの組み合わせで合計2リットルしか免税で持ち込みできませんということです。

例えば、番号1のように、蒸留酒1リットルとワイン1リットルの合計2リットルは免税OKですが、番号1から5の中に例示がない、蒸留酒だけ2リットルを持ち込みたいという場合には、免税にならないという感じです。

蒸留酒、ワイン、ビールのカテゴリーに含まれるお酒の種類は以下の通りです。

【蒸留酒】焼酎、泡盛、ウイスキー、ウォッカなど
【ワイン】ワイン、日本酒、ビール以外の醸造酒
【ビール】ビール類

一応注目していただきたいのは、日本酒がワインのカテゴリーに入るというところでしょうか。

この2リットルの制限を超えるお酒を日本からシンガポール国内に持ち込む場合には関税と物品税を支払う必要があります。

違反した場合の罰則

罰則はこちらです。相変わらず、シンガポールの罰則は厳ししので注意が必要です。

初回違反の場合:課税額の10倍(最少額50シンガポールドル)

2回目違反の場合:課税額の15倍(同上)

3回目違反の場合:課税額の20倍(同上)

5,000円のウイスキーの申告漏れだったら、罰金50,000円という計算になります。

折角なので、シンガポールの酒税を見ておきましょうか。

シンガポールのお酒の税金について

シンガポールでお酒を飲むと本当に高い。日本のビールは特に高い!

シンガポールに住んでいる人は物価が高いと口を揃えて言うけれど、お酒にかかる税金がバカ高いと口を揃えて言うけれど、実際どんなもんか知っている人はほとんどいないですね。

なので、ちょっとまとめてみましょう。

シンガポールでお酒に係る税金は、シンガポール産のものであれば物品税+GST(消費税)、海外からの輸入品であれば関税+物品税+GST(消費税)です。

ただし、日本とシンガポールとは自由貿易協定(FTA)を締結していますので、日本のお酒には関税は掛かりません。ビールもFTAの対象なので、関税はかかりません。

なので、日本産のアサヒスーパードライとシンガポール産のタイガービール、税額は同じ、物品税+GTSです。日本のお酒は高額の税金が掛けられているから値段が高い、はウソということになります。

① 物品税(Excise Duty)

アルコール分量1リットル当たり88シンガポールドル×アルコール度数
ただし、ビールの場合、アルコール分量1リットル当たり60シンガポールドル×アルコール度数

例えば、

アルコール度数14%の日本酒1リットルの場合:1(リットル)×88シンガポールドル×14%=12.32シンガポールドルの物品税がかかります。

アルコール度数5%のビール1リットルの場合:1(リットル)×60シンガポールドル×%=3シンガポールドルの物品税がかかります。

② GST(Goods and Services Tax)(消費税)

(CIF価格+物品税)×7%

なんか想像していたよりも税負担は重くないですね。要は物価が高いんです。

シンガポールでのお酒の値段

客観的なデータがいいと思いますので、シンガポールの最大手スーパーの「Fair Price(フェアプライス)」のオンラインショッピングサイトから。

〇 アサヒスーパードライ(350ml缶×6本)

6本で19.95シンガポールドル。350缶1本の税込み価格は300円くらい。

〇 シンガポールのタイガービール(350ml缶×6本)

6本で11.70シンガポールドル。350缶1本の税込み価格は180円くらい。

これは、最安値です。普通に観光でいらした方が買うセブンイレブンなどのコンビニでは、この1.5倍くらいすると考えてください。

冷静に見ると思ったほど高くない。。。

お店で頼むとビール1杯2,000円くらいになります。その理由(わけ)は?

これは事実です。シンガポールでは、お店でビールを飲むと1杯15シンガポールドルくらいすることはざらです。これにサービス料が10%、GSTが7%のっかってきますから、1杯2,000円くらいになります。

これは、結局、場所代が高いのが理由です。お酒が高いというよりは、場所代(テナント料・家賃)が高いので、お店としては、それを食事や飲み物に付加して回収しないといけないわけでして、だからお店で飲むビールの値段は高いんですね。

もうひとつ。日本のビールが高いのは、税金のせいではなく、まずもって原価が高いのと、日本からシンガポールへの輸送費や諸費用が掛かるから、です。日本のものはクオリティが高く、その代わり値段が高いと思われているので、高めの料金設定をされがち、ということも背景としてあります。

日本にお土産で持ち帰ることのできる量はどれくらい?

これも、免税で持ち込めるお酒の量という意味ですね。税金を払えば、もちろんいくらでも持ち込めますので。

日本に免税で持ち込めるお酒の量は3本(1本あたり760ml)です。お酒の種類やアルコール度数は関係ありません。

3本としていますが、総量で計算して、本数は切り捨てで計算します。

つまり、総量の限度は760ml×3本=2,280mlで、例えばビール350ml缶であれば、350ml×6缶=2,100mlの、6缶が限度ということになります。7缶目からは、350ml毎に課税されます。

免税制限を超えた場合の税率

お酒の場合は、簡易な税率というのが適用されて、以下の追加税金を納めることになります。
(1) ウイスキー及びブランデー600円/リットル
(2) ラム、ジン、ウォッカ400円/リットル
(3) リキュール、焼酎など300円/リットル
(4) その他(ワイン、ビールなど)200円/リットル

先ほどの例(ビール350ml缶)であれば、200円×350ml/1リットル=70円となります。シンガポールとの間にはFTAで関税がかからないので、これは日本の酒税と消費税相当です。高いのか安いのか。

税金は大したことがないにしても、申告は必要だし、運ぶのは大変だし、はっきり言って日本のビールの方が100倍美味しいし。シンガポールのお土産にタイガービールをおすすめする人の気がしれないです。

わざわざシンガポールから持って帰ってこなくても日本で売ってるしね。

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