キャピタルゲインは非課税?日本円でもらっている給料は?住宅手当や通勤手当は?
国が違えば、所得税の対象も当然違います。ちょっと整理してみましょう!
シンガポールの所得税課税項目の概要
シンガポールでの所得税の課税対象は、以下①~③を除く、シンガポールを源泉とする所得です。
①キャピタルゲイン(不動産や株式などへの投資の売却益は原則として非課税)
②認可された金融機関からの預金利息(注:非課税なのは預金利息のみ。貸付金に対する利息は課税対象)
③シンガポール法人からの受取配当金
シンガポールで預金利息や配当金を受け取っても税金は不要です。また、株式の売却益のようなキャピタルゲインも非課税です。
シンガポール所得税課税項目の個別論点
給料
シンガポール居住者である駐在員の給料は原則としてシンガポールでの課税対象となります。
シンガポールを拠点として仕事をしている駐在員の方の給料は、それが日本円建てで日本の銀行口座へ支給されるか、シンガポールドル建てでシンガポールの銀行口座に入金されるか、といった支給形態に関わらず、給与全額(支給合計額)がシンガポールの所得税の課税対象になります。
家賃補助
会社がコンドミニアムなどの家賃を負担してくれる場合は、それも給料の一部のようなものですので、シンガポールの所得税の課税対象になります。
出張手当
出張手当は、IRASが国ごとに定めた額を限度に課税対象から外す(所得税が課税される給料に含めない)ことができます。
例えば、政府が公表しているレート表における日本への出張手当許容額は112シンガポールドルですので、仮に出張手当として150シンガポールドルを受け取った場合には、38シンガポールドルは給料として所得税の対象となります。
これはPer-Diem allowance、いわゆる日当部分の話しです。
ホテル代等の実費は、普通のホテルなら、もちろん給料には含められず、通常は所得税がかかることはないと考えていいと思います。
IRASが公表している出張手当の許容限度額(国別)はこちらをご参照ください。出張手当の非課税限度額(IRASウェブサイト)
通勤手当
シンガポールには通勤手当という概念がありません。会社まで自力でくるのは当たり前といったところでしょうか。
したがって、通勤手当を支給した場合には、それは給料の一部と考えられ所得税の課税対象とされます。
一時帰国費用
帰省等のための一時帰国費用を会社が負担した場合にも、所得税がかかります。
2016年の所得までは、帰国の回数によって所得税の対象としない範囲が決められていて一部は所得税の対象から外せましたが、2017年の所得からは全額所得税の対象となります。
自分の休みのために帰るのだから、本来は自分のお金で帰るべきという考えで、会社がそれを支給した場合はそれは給料のようなものと考えるんですね。
ただし、業務のために帰国する場合は、単なる会社の経費です。もちろんその場合は、個人の所得税の課税対象ではありません。
会社が従業員に乗用車を貸与した場合
会社からの便益の供与ですから、他の手当等と同じく所得税の課税対象になります。
個人の乗用車を社用に利用した場合
従業員が乗用車を社用に利用しても、その関連費用を所得税の計算に考慮されることはありません。
ただし、自家用車で客先を訪問した場合に、走行距離に応じた実費相当分の払い戻しを会社から受けたような場合、それは実費の払い戻しですので所得税の課税対象にはなりません。
会社が個人の所得税を負担する場合
赴任先の所得税率や制度によって手取給与が変動することを防ぐため、先に従業員の給与手取額を決定して毎月の支給を行い、所得税は会社の負担とするということがよく行われています。
このとき、会社が負担した所得税は、本来は従業員が払うべきものなので、この会社が負担した所得税も従業員への給与と考えます。
この給与とみなされる所得税分に対しても所得税がかかるはずであり、そこで計算された所得税分も給与なのでそれに所得税がかかる・・・というようにエンドレスにも見える計算が必要になってきます。
これをタックスオンタックスといいます。税金に掛かる税金というイメージ通りのことばですね。言葉にするとややこしいですが、エクセル等の計算シートで簡単に計算できます。
計算ロジック等はこちらIRASのウェブサイトを見てみてください。Tax on Tax について(IRASウェブサイト)
✅ シンガポールビジネスに関する情報
会社設立・会社運営・会計税務から個人の就労ビザや所得税の申告まで、シンガポールでビジネスをしていく上で知っておくべき法規制の解説記事の一覧はこちら。
🔷🔷 (参考情報) シンガポール出張のホテル選びの決定版 🔷🔷
シンガポール出張の予定がある方は読んてみてください。
シンガポール出張でどんなホテルに泊まるべきか困っている方が多かったので、各方面から情報を集めてまとめてみました。この中から選んでいただければ、満足のいくホテルがきっと見つかると思います。
また、シンガポールへの出張に関して質問の多い事項(ビジネスの服装、習慣、ビザの要否、罰金、保険、持ち物など)もまとめておきましたので、あわせてご参考にしていただければと思います。
