新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で世界中が強制的な都市封鎖、いわゆるロックダウンを進める中で、私たち日本人は強制力を伴わない自粛によって、世界に類をみない形でコロナに打ち勝とうとしています。
他人を思いやり、自らを律し、我慢強く困難に対峙していく、これは世界中のどの民族にもマネできない日本人だけの強さです。
僕の働いているシンガポールなんかは、外出時にマスク着用が義務づけられていて、違反すると300シンガポールドル(およそ2万5千円)の罰金。
そもそも、マスク未着用で外出しただけで、罰金が課されることに疑問を持たないほど、国民感覚はすでに政府のコントロール下にあるわけですが、それでも発令当初は違反者続出でした。
はじめは、1度目は警告、2度目から罰金、と言っていましたが、あまりに違反者が多いので、見せしめのためいきなり罰金を取るようになり、やっとマスク着用がすすみました。刑罰でなんでもコントロールするのがシンガポール💦怖い怖い。
といっても、シンガポールは、異なる生活習慣や文化的背景のある様々な国から労働者を受け入れて経済の発展を遂げてきた国。このやり方が、治安を維持し、国民の生活を守るために、いきついた最善の方法、なんですけどね。
ところで、シンガポールだけではなく、強権的なコロナ感染症対策をとる諸外国からすると、自粛要請によってコロナを封じ込んでいる日本の様子がとても不思議に見えるようですね。
英語で会話をしていると、そんな話題が持ち上がることが間々あります。
自粛って英語でどういうの?
自粛とは、自主的に行動を制限したり抑制することなので、自主的な(形容詞)を表すvoluntaryや、自主的に(副詞)を表すvoluntarilyを使いたくなりますね。
※ voluntary, voluntarilyは、volunteer(ボランティア=自主的な活動)と同じ語源ですね。
固いニュース記事などでは、制限、抑制を表すrestraint(レストレイント)と組み合わせて、
voluntary restraint
という言葉をよく見かけます。
あとは日本語でもよく使うセルフとの組み合わせ。
self-restraint
も多いですね。
ただし、これは英語学習あるあるですが、英語学習者としては、ついつい1つ(ひと続き)の単語をさがしがちですが、実は英語は(特に会話では)その状況を個別に説明することの方が多いです。
なので、単に自粛といっても、外出を控える場合もあれば、お店を開けないという場合もあって、英語ではそのようなそれぞれの状況を個別に説明するというスタンスが〇です。
つまり、
自粛する=自主的に外出しない(家にいる)、ならば
voluntarily stay at home
自粛=自主的にお店を閉める、ならば
voluntarily close the restaurant
だったりが一般的な英会話です。そういう意味では、voluntarily=自主的に、が会話では大活躍します。
罰則ではなく要請で動けるのが日本人の美徳です
シンガポールのように、罰金(fine)や罰則(punishment)で脅して行動を縛るのでなく、要請(Request-based measures)で動けるのが日本人のすごいところです。
これは、どんなにメディアが、切り取りで他国の素晴らしさを報じても、日本の一部の無法者の動きを報じても、日本以外に、ここまで思いやりのある行動を取れる国は世界中どこを探してもありません。100%ありません。
なので、ここは100%自信を持って話していただいてOKです。
この日本の要請ベースを強調するのに、request、ask(依頼する)urge(促す)やencourage(即す)という言葉もよく使います。
僕らの立場からすると、just be requested(単にお願いされただけ)なんですね。重要なのは、思いやり(consideration)なんです。他の国の人たちにありますか?って聞いてあげましょう。
隔離(quarantine)も覚えておこう!
行動を制限するというモヤっとした表現としてrestraintを挙げましたが、ここへきてロックダウンを解除する動きが出てきています。
ここで使われるのが、quarantine(クォランティーン)です。
検疫みたいな使われ方もしますが、コロナの局面では、隔離(もしくは隔離生活)として使われます。
海外帰国者が自主的に2週間隔離生活をしたりしますよね。そんな自主隔離は、self-quarantineと表現されたりします。
欧米を中心とした諸外国では、長い長い強制力を伴う外出禁止規制が引かれていますから、こういう隔離生活を一番適格に表す英単語がquarantineのようです。
ツイッターなんかでも、隔離生活の後(after quarantine)はこれがしたい!なんていうツイートも目立ってきました。
ところで、日本のテレビでよく聞くアフターコロナという言葉は、英語ではまず見かけません。
これは、実はafterという前置詞のイメージの問題でもあります。私たち日本人は、afterを「~の後に」という風に訳しますが、英語感覚では「~に続いて」「~を追いかける」という感覚です。そう考えると、アフターコロナという響きは、なんか明るくないイメージなんですよね。なので英語圏ではアフターコロナは使われないでしょうね。