(今さら聞けない)パンデミックって何?感染症の英語表現を知っておこう

新型コロナウィルス感染症のニュース記事を読んでいるとパンデミックという言葉がよく使われています。当初はパンデミックなのか?という感じ。現在は、完全にパンデミックと認識されていますね。

ところでパンデミックってなんのこと?

そうですよね。普段はまず使わない英語ですから、普通は知らなくて当然の言葉です。

SNS界隈では、当たり前のように使い出すもんだから、今さら聞けない…

ちょっと整理してみましょう。

もくじ

パンデミックとは?

パンデミックとは、簡単に言うと広い範囲で流行する病気のことです。

太字にしましたが、この広範囲というところがミソです。地理的に広い範囲で流行する場合だけでなく、人を含めた特定の生き物の中で広く流行する場合にも、使われます。

英語なので、意味は英語の辞書で調べるのが一番正確ですかね。

ケンブリッジ英英辞典ではこんな感じです。

(of a disease) existing in almost all of an area or in almost all of a group of people, animals, or plants

almost all がキーワードでしょうか。ほとんどすべて、ですね。

ほとんどすべてってどれくらいよ?という感じですが、英語教材ではalmost all は、95%以上くらい、と解説されています。all が100% なので、ほとんど100%といえば、それくらいでしょうかね。

他はどうでしょう。ロングマン英英辞典では、こうです。

a disease that affects people over a very large area or the whole world

a very large area(非常に広いエリア)、または、the whole world(全世界)にわたって…

こちらは地理的な広がりに絞っている感はありますが、いずれにしても、日本でちょっと流行っているくらいの病気ではまだまだパンデミックと呼ぶにはふさわしくなく、世界中の人々がそれを警戒するくらい流行っている病気(もしくは病気が流行っている状態)をパンデミックと呼びます。

(若干あいまいですが、英語(言語)の意味を理解する場合には、こんな感じのイメージ(ニュアンス)が大事ですね)

伝染病を表すその他の英語

パンデミック(pandemic)と聞いて、僕が一番最初に思い浮かべたのは、この単語エピデミック(epidemic)ですね。

英語学習時に何度も繰り返し、例文をほぼ暗記している、英語学習者のバイブルDUO3.0の例文で使われています。

その例文がこちらです。

So far, no less than 200 people have died of the flu epidemic.

これまでに少なくとも200人がインフルエンザの流行で死んでいます。

the flu(フルー)というのは、インフルエンザ(influenza)のことで、英語ではthe flu(フルー)もよく使われます。改めて読み返してみると、DUO3.0では、the flu epidemicを、インフルエンザの流行と訳しています。

ここで気になることが3つ。

① pandemicとepidemicはどう違うのか?

② pandemicにも、epidemicにも、demicという言葉が使われているけど、demicってどういう意味?

③ その他にもdemicを使った単語があるんじゃないか?

ちょっと調べてみましょう。

pandemicとepidemicの違い

上述の通り、Pandemicは、世界的、もしくは広範囲にわたる大規模な伝染病、またはそのような状況のことです。

これに対して、epidemicは、ある地域で、一時的に蔓延している病気やそのような状況のこと。epidemicはpandemicよりも重大性が低く規模が小さい、そんな感じです。

特定の地域で大感染するコレラや一時的に流行するインフルエンザのような病気はepidemic、今回の新型コロナウィルスのように世界的に広がる病気はPandemic、そんな使い分けになります。

接尾語demicの意味

英単語を記憶するには、接頭語・接尾語の意味(イメージ)を押さえて、共通する接頭語・接尾語を持つ言葉を合わせて押さえて行くのが、効率的です。ある程度の英語学習者はそんな癖付けがされていると思います。

上記のpandemicもepidemicも、demicが単語の最後についているので、なにか意味があるに違いない…伝染とか流行とか?

demicとは人の集まりを表す言葉(ギリシャ語に由来)。pandemicも、epidemicも、伝染病に対して使われることがほとんどですが、本来は、病気だけでなく、何かが人の集団の中で起こるイメージなんですね。

demicを使ったその他の単語

となると、demicを使ったその他の単語も気になってきます。

endemic:ある地域で慢性的に蔓延する病気(もしくはそのような状況)

pandemicは全世界で、epidemicは特定の地域で一時的に、endemicは特定の地域で慢性的に、という違いです。

Infodemic:デマ情報が拡散されること

info(情報)という言葉から推察しやすいですね。demicの人の集まりという意味からすると、必ずしも悪い情報だけに絞られなさそうですが、やはりdemicにはネガティブなイメージがあるんですね。

ちなみに。単にSNSなどで情報が拡散される場合は、go viral が使われます。viral はウィルス(virus)の形容詞「ウィルスの」という意味ですが、go viral はネットで大規模に拡散される、いわゆるバズるってやつです。

epizootic:動物に流行る病気のこと

epidemic の動物版ですね。

demicが人の集まりという意味であることから、zooに置き換えてにして動物の集まりという意味にしたという、冗談みたいな単語です。歴史はわかりませんが、後発の造語の匂いがぷんぷんします。

最後に、伝染病といえば、バイブルDUO3.0の例文にこんなのがあったのを思い出しました。

More often than not, famine is accompanied by plague.

たいてい飢饉になると疫病が発生する。

famineは飢饉、plagueは疫病・伝染病のこと(転じて厄介者みたいな使い方もされます)です。大学受験でもない限り、出会う機会の少ない例文ですが…

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