日本の口座に支給される給料について




海外勤務者の給料を、現地通貨による現地支給と日本円による日本支給に分割して、支給することがよくあります。

こういった場合、税金はどちらの国で払うべきなのでしょうか。社会保険料はどうしたらいい?みたいな疑問が生まれてきますよね。

今回はそのあたりを整理してみましょう。

為替リスクを回避する目的で、現地で使う分だけを現地の通貨で支給してもらい、残りは日本円で日本の口座に支給してもらったり、単身赴任の場合などで日本に住む家族を養うために、給与の一部を日本円で日本の口座に支給してもらうというように(この場合の日本支給額は「留守宅手当」といわれます)。

また、現地での支給額は、現地勤務者の不平等感をおさえるため現地の給与水準で支給し、本来の給与と現地給与の差額を日本の口座に支給するということもよく行われます(この場合の差額支給額は「給与格差負担金」といわれます)。

さらには、日本での給与支給額がなくなってしまうと、社会保険料(厚生年金や健康保険料など)の計算基礎がなくなりそれらを支払うことができず、将来の年金受給額の減少や日本に残した扶養家族の健康保険がなくなってしまうなどの不利益が生じることがあります。

これを回避するために、あえて給料を分割し、日本での支給額を残すということもよく行われています。

この場合、日本での支給額を少なくすればするほど、社会保険料の計算基礎が小さくなるため、社会保険料そのものも少なくなります。

健康保険料のような掛け捨てタイプの社会保険料を減らすためには日本の支給額を少なくするというのも手かもしれませんが、厚生年金のような積み立てタイプの社会保険は掛け金が少なくなれば将来の保障も少なくなるので一概に少なければいいとも言えません。(受け取れるのかという議論は一旦横においておいて😄)

日本での支給額を少なくしたほうが納付すべき社会保険料自体は少なくて済むとか、逆に多くしたりできるとか、ある意味保険料を調整できてしまうので、これに対して何か規制があってもよさそうなのですが、実際には規制はありません。

なので、現地支給額と日本支給額の割合は従業員あるいは会社が自由に決めることができます。

最近は当局に相談に行くと、現地給料と日本給料の総額に対して、社会保険料を設定せよという指導もあるようですが、根拠はないようです。相談にいかずに普通に日本支給を根拠に計算してればOKみたいな見解も多く、なんだかいい加減なものですね。

まあいい加減なことばかりでニュースになっている庁の管轄ですから、社会保険料はそんな感じみたいです。😁

が、税金の方はそうもいかないので整理しておきますか。

所得税との関係(受領者側)

非居住者の場合、日本で支給されようと外国で支給されようと、外国で勤務したことによって支払われた給料なので、これに対する所得税は外国で納めます。

つまり、日本の銀行に振り込まれている「留守宅手当」や「給与格差負担金」も外国で受け取っている給料と合算して、合計に対して所得税を計算して、外国で所得税を納付することになります。

法人税との関係(支給者側)

法人税基本通達9―2―47(出向者に対する給与の較差補償)では「出向元法人が出向先法人との給与条件の較差を補填するため出向者に対して支給した給与の額(給与格差負担金)、及び、出向先法人が海外にあるため出向先法人が支給する「留守宅手当」の額は出向元法人の損金の額に算入する」と規定しています。

したがって、海外出向者に支給する「留守宅手当」や「給与格差負担金」は、基本的には損金(税務上の費用)になり、従業員や出向先の会社に対する寄附金と認定されることはありません。

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