『引当金』って英語で何て言う?AllowanceとProvisionの違い




よく使う会計用語『引当金』は英語で何て言うのでしょうか。

答えは、Allowanceか、Provisionです。

引当金を調べるとAllowanceとProvisionの2つが出てきて、こんがらがっちゃう…

ですよね…

もくじ

AllowanceとProvisionの違いは?

簡潔に言うと、

Allowance:評価性引当金 ➡ 資産のマイナス

Provision:負債性引当金 ➡ 負債の部に計上

です。

負債性?評価性?

評価性引当金とは

まずは、

Allowance:評価性引当金 ➡ 資産のマイナス

の説明をしていきましょう。

「評価性引当金」とは、例えば債権を回収可能額で評価するときに、回収不能見込み額について資産の評価勘定として計上する引当金です。

債権が100ドルあるけれども、過去の経験から30ドルは回収できないなぁという場合、債権の貸借対照表価額は、100ドルから30ドルを引いた70ドルとすべきです。

この時、債権100ドルに対して貸倒引当金△70ドルを計上しますが、このような引当金を評価性引当金と言います。債権を評価するための引当金です。

上記の例のような貸倒引当金のほか、投資損失引当金なども評価性引当金です。

日本基準では、各資産別に控除科目として掲記する方法や各資産科目に対する控除科目として一括して掲記する方法がとられます。

負債性引当金とは

次に、

Provision:負債性引当金 ➡ 負債の部に計上

の説明です。

「負債性引当金」とは、将来の支出に備えるために負債の部に計上される引当金です。

負債性引当金は、法律や契約で支払額が見積もられる債務性引当金(賞与引当金など)と、企業の判断によって計算された将来の支払見込み額を計上する非債務性引当金(修繕引当金など)とに分類されます。

1年以内に支払われる見込みの引当金は流動負債に計上され、1年より先に支払われる見込みの引当金は固定負債に計上されます。

IFRSと日本基準の違い

日本の基準では、負債性引当金は以下の4要件を満たすものを言います。

① 将来の特定の費用または損失である
② 発生が当期以前の事象に起因している
③ 発生の可能性が高い
④ 金額を合理的に見積もることができる

IFRSのProvision(負債性引当金)の要件は以下の通り。同じような感じですが、ニュアンスが若干異なります。

The Standard defines provisions as liabilities of uncertain timing or amount. A provision should be recognized when, and only when :

(a) an entity has a present obligation (legal or constructive) as a result of a past
event;

(要件①)当期以前の事象に起因した、現在の債務(法律上の債務または解釈による債務)である。

(b) it is probable ※ (ie more likely than not) that an outflow of resources embodying economic benefits will be required to settle the obligation; and

(要件②)債務の決済のために、経済的便益を有する資源の流出の可能性が高い(probable=more likely than not, つまり50%超の確率)。

(c) a reliable estimate can be made of the amount of the obligation. 

(要件③)金額を信頼性をもって見積ることができる。

一番の違いは、IFRSでは、上記の要件①で obligation(債務・義務)の存在にこだわっていることです。なので、日本基準で認められている非債務性引当金はIFRSでは認められません。

あとは、発生確率について。IFRSと日本基準の間に違いがあるとする考えもあります。が、IFRSの「Probable(50%超)」と日本基準の「発生の可能性が高い」の間に概念的には違いがありそうですが、実務的には明確な違いとなって現れてこないはずです。IFRSでも発生する可能性が高い(発生しない可能性よりも)場合に引当金を計上するので。日本語訳の50%超だけをとらえて、変な解説をしている専門家のサイトがあるので、ちょっと笑えます。

※ Probableの発生確率についてはIAS37号23項で以下のように記載されています。

For the purpose of this Standard,* an outflow of resources or other event is regarded as probable if the event is more likely than not to occur, ie the probability that the event will occur is greater than the probability that it will not.




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