アメリカ英語とイギリス英語 シングリッシュはどっち派?




シンガポールなまりの英語のことを「シングリッシュ」と呼びます。シンガポーリアン・イングリッシュの略ですね。

シングリッシュはどんなものかを説明するときに、よく使われるのが「オッケーラー」です。何かにつけて、語尾にラーをつけると言われています。

敢えて言われていると書いたのは、私たち外国人と接している時には、わざじゃ無い限り、彼らがオッケーラーはなんてなかなか言いません。

なぜか。その理由は後ほど。理由があります。

もう一つは「キャン・キャン」ですね。CANだけで、できるとか、OKとか、そういう意味で使います。疑問文にも、その答えにも使うので、キャン?と聞いて、キャンといえば、会話が成り立ったりします。

これは、ラーと違って、英語なので、私たち外国人に対しても使ってきます。日本人的には、ニュアンスはわかるので、それほど違和感がなかったりします。

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シングリッシュって、結局なんなの?

シンガポール人に聞けば、シンガポールはマレー系、中華系、それにインド系など、いろいろな人種が集まってできた国なので、それらの国のことばがミックスしたものだと答えるでしょう。

でも違いますね。シングリッシュのルーツは間違いなく中国語です。つまりチャイニーズイングリッシュですよ。このこと、シンガポーリアンたちは、以前は中国とは違うんだということを強く主張をしていましたので、どうしても認めたくなかったんでしょうね。

でも、長いものに巻かれて成長し、長いものに巻かれる癖のついているシンガポール。このところの中国の強さを見て、やっと本音を言えるようになってきました。そうです、中華系なんですよ、この国は。シングリッシュは中国語の影響を一番強く受けています。

さきほどのラーですが、何のことはない。これは中国語です。

~了、です。~だったとか、~したとか、そういった意味で使います。どちらかと言うと発音は「レ」ですが。

「オッケーラ」は、「了解した」みたいな感じでしょうか。中国語が語源に違いなく、その後リズムが良いため、流行して定着したんじゃないかとシンガポーリアンは言っていますね。

また、キャンはどうでしょう。これも中国語の可以(カイ)ですよ。可以(カイ)はシングリッシュのキャンと同じように使います。

可以(カイ)?(できる?)

可以(カイ)。(できるよ)

みたいな感じで。

その他にも、シンガポール人やマレーシア人は、英語を話すとき彼と彼女をよく間違えます。なぜか。中国語では三人称の男女の区別が無いからです。中国語にはない、三人称単数のsも付け忘れます。

また、What do you like のような場合の、doが中国語にはないので、会話の中でdoやdoesを飛ばすシンガポール人が多いのも、中国語の影響です。

中国語の影響をかなり強く受けているのが、シングリッシュなんです。仲良くなれば、ちゃんと教えてくれます。

シングリッシュが手強い理由

それでも語順なんてある程度適当でも意味は分かります。自分の感覚では、シンガポール人のほとんどは英語教育をきちんと受けていますので、シチュエーションに合わせて英語をコントロールできます。

問題は、シンガポール人づらしたマレーシア人や中国人です。

彼らはアクセントの酷さを知っているので、オフィシャルなシーンでは、英語をあまりしゃべりません。オフィシャルなシーンでは、私たち日本人と同じで、わかるように言葉を選んで話すので、まだわかるのですが、ひとたびタガが外れて自由に話しだすと本当に意味不明な英語になります。

そうは言ってもほとんどの日本人がそんなローカルな環境で働いていないので、本当の意味でのシングリッシュの手強さを知りません。そんなときに見せるのがこの動画です(38秒)。

これですよ!シングリッシュの真骨頂は。

ネイティブなら、英語をしゃべってくださいってお願いするんじゃないでしょうか。

でも、相手は自信満々なので、例えば聞き手が日本人だけだったりすると、理解できないのは、こちらのスキルに原因があるような気がして聞き返せない。

これがシングリッシュに対する時の一番の難所です。本当にこんな英語に囲まれて過ごす人は少ないでしょうけど… シングリッシュって本当はすっごい手強いんでっせ!

シングリッシュはアメリカ英語?それともイギリス英語?

シンガポールの英語に対峙したときに、意外と惑わされるのが、この問題。

結論から言うと、シングリッシュはイギリス英語が由来。言葉のチョイスがアメリカ英語とちょっと違うんですね。理由はもちろんシンガポール(独立前はマレーシア)がイギリスの植民地だったからです。

同じ英語なので大きな違いはないはずですが、私たち日本人が学んできたのはアメリカ英語なので、ちょっとしたところで、えっという場面があるはずです。

この件についても、しっかりとした教育を受けてきたシンガポーリアンは、両方の違いを知っていますが、そうでないなんちゃってシンガポール人(マレーシアや中国から働きに来ている人)は、そんなことも知らずに、日本人の英語が間違っていると決めつけて来たりします。

中華っぽいですよね。そうなんです。

向こうは自分が正しいと思っているので、スムーズなコミュニケーションを取ろうと思ったら、こちらが合わせてあげるか、アメリカ英語とイギリス英語の違いを教えてあげたりすることが必要になってきます。

アメリカ英語とイギリス英語の違い

ということで、ここに辿りつくわけですが、アメリカ英語とイギリス英語の違いから、私たち日本人が戸惑いがちな例を挙げてみますね。

使う単語の違い

一度目にすれば、すぐ覚えられるのですが、一番最初は戸惑ったりしそうな例ですね。

〇 アメリカ英語のエレベーターは、イギリス英語ではリフト。

〇 アメリカ英語では、行列のことをラインといいますが、イギリス英語ではキューを使います。

行列の多いシンガポールではキュー(行列)は、動詞(行列に並ぶ)という意味でもよく使われます。スペルはQueueです。

〇 アメリカ英語で使う、地下鉄のサブウェイは通じにくいですね。シンガポールでは、電車はすべてMRTです。

〇 苗字はLast Name や Family Nameよりも、Surname(サーネーム)の方が好んで使われます。同様に、名前は、First Name よりも、Given Name(ギブンネイム)がよく使われます。

〇 カバン類は、アメリカ英語ではbaggageですが、イギリス英語ではluggageです。

〇 ガソリンは、アメリカ英語ではガスとかガソリンですが、イギリス英語ではペトロ(リアン)です。

シンガポールでは、これらの例は、イギリス英語を使っていますね。

スペルの違い

〇 アメリカのcenter(センター・中心)は、イギリスではcentreというスペル。

〇 アメリカのtheater(シアター・映画館)は、イギリスではtheatreというスペル。

〇 アメリカのcolor(カラー・色)は、イギリスではcolourというスペル。

この辺りのスペルの違いも、シンガポールではイギリス英語の方を好んで使われます。

シンガポールのビジネスシーンでよく使われるイギリス英語

〇 社長はManaging Director ですね。アメリカではPresidentが一般的でしょうか。最近はCEOもよく使われます。

〇 解雇にredundantという言葉をよく使います。アメリカ英語だとレイオフとかファイヤーでしょうか。

〇 これはどちらかわからないのですが、シンガポールでは、回答するという表現に、revert とかrevert back という言葉を使います。

〇 修正するは、modify よりも amend を好みますね。アメリカ、イギリスの問題じゃないかもしれませんが。

それでも、イギリス英語一辺倒じゃないんですね。シングリッシュは。いいとこどり、というか新しいもの好きの文化なので、アメリカ英語が生活に溶け込むのも早いんでしょうね。

例えば、

弁護士はロイヤー、横断歩道はクロスウォーク、洗濯もランドリーですね。

あとビルの階数の表現も基本的にはアメリカ方式です。イギリスでは、1階をグランドフロアと言い、2階をファーストフロアと言いますが、この方式はほとんど見かけないですね。基本的には、1階がファースト、2階がセカンドです。

一方で、ゴルフ場の距離表示はメートル表示です。これはイギリス式だそうです。アメリカ式のヤード表示に慣れている私たち日本人は、初めてシンガポールでゴルフをすると少し戸惑います。




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