【シンガポールの法人税】日本との違い(申告・納付の流れ)

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シンガポールでの法人税の申告・納付の流れは、日本での申告・納税の流れとは随分違います。

日本の法人税は申告納税方式ですので、基本的には企業が申告した時点で納税額は決まります(もちろんその後の調査等で申告した額が正しくないことが判明すれば修正等が必要になります)。企業の責任で税金額を計算させて納付させるだけですので、政府はできるだけ早く出せということになってくるわけです(本当にそういう感覚かはちょっと不明ですけど😁)。

なので、基本的な申告・納税期限は決算日の翌日から2ヶ月(合理的な理由があって延長申請すれば3ヶ月に伸ばすことができます)、鬼のような短さです。

一方、シンガポールの法人税は賦課課税方式です。企業の申告で税金は決定せず、申告を受けて政府が調査し税金の額を決定して企業に通知します。企業の申告に基づいて税金を納めるという意味では、結果は同じようなものとも言えますが、政府が納税額を決定しているという点が意外と重要です。

政府は全部の企業の財務諸表をチェックすることはできないので、会計監査の適用範囲は広く、会計監査が必要な企業は会計監査済みの財務諸表をもとに税務申告をする必要が出てきます。政府の調査の一部を会計事務所にやらせているという感覚もあるでしょうか。

株主総会も然りです。会社が承認していないような数値に基づいて申告されても、政府はその数字を信用しようがありません。そのため、税務申告は株主総会に承認された財務諸表に基づいて行う必要がある、ということになります。

そのため、最終的な申告の期限は、事業年度末の翌年の11月という鬼のような遅さです。申告する前に十分時間をやるから、外部の監査人にチェックさせて、株主総会の承認も得たちゃんとした財務諸表に基づいて、ちゃんとした申告書を出せよ。政府の方だって実際に全部なんか見れないんだから、といったところでしょうか(本当にそういう感覚かはちょっと不明ですけど😁)。

その代わり遅れたらペナルティを課すぞ、といういつもの脅しです。というか当たり前ですね。

そんなバックグラウンドがあるという理解で、シンガポールの決算や会計の流れを見ていくと、意外と腑に落ちやすいかもしれませんよ。

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シンガポールの法人税の申告・納付の流れ

それでは、シンガポールの法人税の申告・納付の流れを見てみましょう。

① 予定納付(ECI) ~事業年度末から3ヶ月以内~

さきほど、シンガポールの法人税の申告期限はゆっくりだといいましたが、原則として仮決算に基づく納付といいましょうか、事前の納付が必要になります。

具体的には、

事業年度から3ヶ月以内に、見積予定所得額(ECI:Estimated Chargeable Income)を申告し、当局から予定納付の賦課決定通知(NOA:Notice of Assessment)を受領します。企業は賦課決定通知(NOA)の発行日から1ヶ月以内に見積税額を納付することになります。

予定納付のときに、ある程度正確な税金計算が求めらえます

仮の計算かぁ、ぽよよ~ん。というわけにはいきません。

決算までに監査を受けないといけないので、監査に耐えうるだけの根拠のある数字でないといけません。

えっ、そこまでやるの?3ヶ月後に計算した税金の数値を使って、決算数字を置き換えるの?

理屈では、これをやらないと監査でOKにならないはず、なんですよね。

ECIはすべての企業が必要なわけではありません

実は、シンガポール政府はこの予定申告による企業の事務負担を理解しており、一定規模以下の会社にはECIの申告を求めていません。まあ、赤字で税金を納めない可能性が高い会社は税金計算しても結局納める税金がゼロなわけで、そういった会社を免除しているだけですが…。そうはいっても、海外の会社って結構こういう会社が多いんじゃないですかね。立ち上げ期とかは特に。

✅ ECIが不要となる要件

ECIの申告が不要となる要件は、2017年7月以降の決算から拡大されて、ちょっと迷うことがありましたが、今は以下に統一ですね。
  ① 売上高が5百万シンガポールドル以下であり、かつ
  ② 課税所得がゼロ以下と見込まれること

免除要件に該当するかどうかを当局に通知する必要はないとACRAのHPには記載されていますので、特に届け出などは要らないのですが、決算前にECI申告を促すレターを受け取る場合があるので、そういった場合には、ECIの対象外であることをACRAに一報を入れておいた方が無難でしょうかね。

② 確定申告 ~事業年度の属する暦年の翌年の11月30日まで~

こちらが本チャンの申告です。翌年の11月まで。すごく時間があります。

実務の流れは大体こんな感じです。

決算日から6ヶ月以内に監査を受けて株主総会で財務諸表を承認し当局に提出します。翌年の4月ごろにForm Cと呼ばれる申告フォームがIRAS(内国歳入庁)から送付されてくるので、それを記載して、監査済決算書と法人税計算書(Tax Computation)を添付して、ACRAに提出します。提出から数ヶ月後に賦課決定通知(NOA:Notice of Assessment)が届きますので、予定納付との差額を納付するか、または還付を受けます。

法人税の申告スケジュール例

大きく分けて①予定納付と②確定申告という流れですが、②の確定申告のタイミングが暦年ベースで翌年の11月というのが肝ですよね。

繰り返しになりますが、確定申告に際しては、法人税の申告書類(Form C)に監査済の決算書の添付する必要がありますので、実務の流れとしては、

〇 予定申告(3ヶ月以内)

〇 シンガポール公認会計士による監査

〇 定時株主総会(事業年度末から6ヶ月以内)での承認

〇 最後に確定申告をぼちぼち行うという感じになります。

例えば、日本企業でも多い12月決算と3月決算を例にとると以下のようになります。

a) 2018年12月31日決算の場合

①予定申告 2019年3月31日(決算日から3ヶ月後)
②確定申告  2019年11月30日(決算日から11ヶ月後)

b) 2018年3月31日決算の場合

①予定申告 2018年6月30日 (決算日から3ヶ月後)
②確定申告  2019年11月30日(決算日から20ヶ月後)

そうなんです。3月決算の方が、ゆっくり申告できるんですね。かなりゆっくり。

シンガポール進出サポート情報

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