【シンガポールの消費税】GSTってなに?

シンガポールでも買い物すると消費税がかかります。Goods and Services Tax、GST(ジーエスティー)と呼ばれる奴ですね。

払う方は簡単です。日本と同じで買い物すると勝手に上乗せされるので。

ここでちょっと豆情報。シンガポールではよく価格表示に$10++みたないのを見ると思います。日本の駐在員はこれを、10ドルプラプラと読みます😂。10ドルにサービス料プラスのGSTプラスという意味です。

ここはビジネスカテなので、関係なかったですね。サイト全体としては、そういう情報を伝えることを考えて運営しているんですけど😄

GSTに戻りましょう。

GTSの概要

シンガポールのGSTは税率7%です。実は5年以内に9%に上げることが決定しています。

企業の側からすると、シンガポールのGTSは登録制です。登録企業でなければ、GTSを上乗せして請求することはできません。請求はされるけど、請求できないんじゃ、さすがにきついですので、登録は必ずしましょう。また、GSTの申告を行うこともできません。したがって、仮払GSTが多く本来のその還付が受けられるような状況であったとしても、GTS登録をしていなければ還付申告を行うことができません。これも場合によっては痛いので、やっぱり登録はした方がいいですね。

登録方法ですが、1年間の課税売上高(国内売上 (7%課税取引) +輸出免税等売上 (0%課税取引)) が実際に1百万シンガポールドルを超えるか、または今後1年間の課税売上高が1百万シンガポールドルを超えると予測される場合には強制登録 となります。それ以外の場合には、任意登録 となります。先ほど記載した通りですが、基本的には早く登録したほうがいいと思います。なお、任意登録のためには、GIRO (自動引き落とし制度) に加入しなければなりません。そのためには保証金が必要ですし、基本的には4半期ごとに申告が必要になるので、そのための事務処理や場合によってその委託費が必要になります。これらの費用を考慮して任意登録すべきかどうか意思決定すべきということにはなります。

GST申告の流れ

決算期に応じて、原則として四半期ごとに申告します。申告期限は四半期末の翌月末です。

例えば、12月決算であれば、
第1回  (計算期間) 1月~3月  (申告期限) 4月末
第2回  (計算期間) 4月~6月  (申告期限) 7月末
第3回  (計算期間) 7月~9月  (申告期限) 10月末
第4回  (計算期間) 10月~12月  (申告期限) 1月末

四半期が原則ですが、1か月毎や6ヶ月毎に申告のサイクルを変更することも可能です。

GTS課税取引の種類

GST課税の判断において、取引を以下の4つの類型に分類しています(基本的な考え方は、日本の消費税における課税取引区分と同じです)。

① 課税取引

シンガポール国内での物品の販売(Goods)や役務の提供(Services)に関する取引で、7%のGST課税されます(シンガポール国外から国内への商品の輸入も含まれます)。

② 免税取引

課税取引だが、納税しなくて良い(0%課税の)取引で、商品の輸出などがこれに該当します。

③ 非課税取引

政策的な配慮で、GST課税の対象外とされているものです。以下の3カテゴリが限定列挙されいます。
・金融サービス
・住宅用不動産の賃貸・販売
・貴金属投資

④ 不課税取引

シンガポール国外で行われる取引、従業員への給与、対価を得ない寄付や贈与などは、そもそもGSTの対象外です。

タックスインボイスってなんでしょう?

外国では、単にインボイス(請求書)ではなく、タックスインボイスという言葉をよく聞きます。タックスインボイスとは、会社等が任意に発行するインボイス(請求書)とは違って、税法上、課税業者に発行が義務付けられている法的な書類です。記載すべき内容も決められていますし、なにより税額が明記されています。

シンガポールのGSTも、その他諸外国と同様にこのインボイス方式を採用しています。(ちなみに、日本は、「タックスインボイス方式」ではなく、「請求書等保存方式」です。)

請求社側(販売者側)

GST登録した企業、すなわち課税業者は、商品を販売またはサービスを提供した場合、30日以内にタックスインボイスを発行する必要があります。タックスインボイスの控えは仮受GSTの証憑として保管する必要があります。

被請求者側(購入者側)

商品の購入やサービスの提供を受けた際に支払ったGSTを、申告時に仕入控除として還付を受けるには、タックスインボイスを証憑として保管しておく必要があります。

タックスインボイスに記載しなければならない事項

タックスインボイスの必須記載事項はIRASのウェブサイトにて細かく規定されています。

① Tax invoiceという単語
② 販売者の名前、住所
③ GST登録番号
④ 購入者の名前、住所
⑤ 請求書発行日
⑥ 請求書番号
⑦ 商品名
⑧ 税率
⑨ 税抜価格
⑩ GST税額
⑪ 税込価格

なお、シンガポールドル以外の通貨で商品の販売やサービスの提供を行った場合には、シンガポールドルに換算した金額 (税抜きの額、GSTの額、税込みの額) タックスインボイスに記載する必要があります。

簡易版のタックスインボイス

請求額の合計が1,000シンガポールドル (税込) 以下であれば簡易版のタックスインボイスでOKです。簡易版であっても最低限以下の事項の記載が求められます。

① 社名、住所、GST登録番号
② 発行日
③ 請求書番号
④ 商品又は役務提供の内容
⑤ 税込み金額
⑥ “Price payable includes GST” の明記

シンガポールのお店で受け取るちっちゃなレシートにも、よく見るとこれらの情報がぜんぶ記載されていますよ。

GST還付ができない取引

GST登録業者になっていれば、会社が払ったGST(仮払GST)はGST申告に含め、売上等で受け取ったGST(仮受GST)からマイナスするか、仮払GSTが上回る場合には、還付請求することができます。ところが、シンガポール政府はその費用の性質を考慮し、以下の費目に関するGSTは仕入税額控除に算入できないと規程しています。

  1. 従業員の家族や親せきに対する福利厚生費
  2. 自動車の取得原価や維持費(登録名義が個人であるか会社であるかは問わず)
  3. スポーツやレクリエーションクラブの会費や名義書換料などの手数料
  4. 従業員にかかった医療費
  5. 医療や事故に対する任意保険料
  6. 賭博等に関する取引

自動車関連の費用は、シンガポール政府が交通量を押さえるために税務メリットをおさえているという独特の事情が反映されています。それ以外は会社の費用っぽくないので普通に控除できないかなと思います。賭博費用みたいなのも、わざわざ列挙しているところもシンガポールらしいですけどね。税額控除しようとする人はいないと思いますけどね😂。

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シンガポール出張の予定がある方は読んてみてください。

シンガポール出張でどんなホテルに泊まるべきか困っている方が多かったので、各方面から情報を集めてまとめてみました。この中から選んでいただければ、満足のいくホテルがきっと見つかると思います。

また、シンガポールへの出張に関して質問の多い事項(ビジネスの服装、習慣、ビザの要否、罰金、保険、持ち物など)もまとめておきましたので、あわせてご参考にしていただければと思います。

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